恐ろしい…カードローンの「大きすぎる危険性」。〈気づけば多重債務を抱える〉カラクリ【司法書士監修】

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申し込みや手続きが簡単なこともあって気軽に利用しやすいカードローンですが、使い勝手がいいからこその注意点があります。自分ではカードローンを賢く使っていたつもりが、気づけば危険性の高い使い方をしてしまっているかもしれません…。実際カードローンには、どのようなリスクがあるのでしょうか。本記事では、立山慶之司法書士が、カードローンを利用する前に知っておきたい危険性や利用時の注意点についてわかりやすく解説します。

借りる前に知らないとやばい? カードローンの危険性

カードローンの利用には、どのような危険性が伴うのかについて解説します。カードローンを借りる前にあらかじめ危険性を知っておくことで、返済に振り回されるような使い方を避けることができるでしょう。

現在すでにカードローンを利用している場合は、当てはまる部分がないかをチェックしてみてください。

借りやすいためつい借り過ぎてしまう

カードローンは銀行や金融機関が提供しているローン商品に比べると審査の基準が厳しくない傾向にあり、申し込んでから利用できるまでにかかる期間も短いものが多いです。全国のコンビニATMと提携している業者もあり、いつでもどこでも、困ったときに利用できる点はカードローンのメリットとされています。

しかし、このメリットが、そのままデメリットになってしまう場合もあるのです。手続きが簡単で借りやすいため、ちょっとお財布が寂しいときなどに気軽に借入れしてしまい、借金が膨らみやすくなってしまいます。

日割りで利息がつくため返済額が大きくなる

日割りで利息がつくことが多いのも、カードローンの特徴です。通常、利息は借金をした元金に利率をかけて計算されます。

計算式は以下のとおりです。

「借入元金×借入利率×借入日数÷365日=支払い利息の金額」

10万円を年利18.0%、1ヵ月(30日)後に返済する条件で借りた場合、

10万円×18.0%×30日÷365日=1,479円

が支払い利息です。利息に借入元金を足して、総額10万1,479円が返済金額になります。

支払う利息は借入れ金額の大きさや実質年利、借りている期間によって異なります。

カードローンでは、月々の返済額を数千円など、少額に設定することも可能です。これもカードローンのメリットではありますが、逆にいえば、返済額を少なくすることで支払い期間が伸びてしまい、多くの利息がかかってしまうリスクも大きいといえるでしょう。

他のローンよりも利息金額が高め

カードローンは他のローンや融資プランなどと比べると全体的に金利が高く支払い利息が多くなる傾向となっています。

その理由としては、カードローンは審査が一般的なローンの審査よりも厳しくないことが挙げられます。

利用しやすいからといって利息の高いカードローンの借入れ金額が増えて、さらに返済期間が長くなっていくと、いつの間にか返済額が多額になっているかもしれません。

毎月の返済額が少ないとなかなか返し終わらない

カードローンでは、借入総額によっても異なりますが、月々の返済額を1,000~5,000円など、少額に設定することが可能です。毎月の返済額が少なければ、生活を圧迫しづらいメリットはあります。

しかし、多額の借入れを行ったにもかかわらず、返済額を少なく抑えてしまうと、元本がなかなか減らず、延々と利息を払い続ける危険性が高まるのです。こうなると、いつまでたっても返済が終わらなくなってしまいます。

たとえば、20万円の借入れをして毎月6,000円だけ返済する場合、完済するのに早くても4年近くはかかるでしょう。年利15.0~18.0%で借入れた場合、最終的に支払う総額は26万~28万円ほどとなり、利息の額も大きくなることがわかります。

これが30万円、40万円と借入額が増えれば、それとともに利息もさらに高くなります。借り入れが30万円を超えたあたりから、月々の最低返済額は1万円以上となるケースが多いですが、30万円を借りて毎月1万円ずつ返済したとしても、完済するのに3年近くかかります。

返済期間が長引くことによる精神的、経済的負担が大きくなってしまう点には、充分注意が必要です。

気がつけば多重債務を抱える危険性も

長期間、高い利息での返済が続くと、急な出費があったときに収入から支払うことができず、またローンに手を出す、という悪循環ができてしまいます。気がつけば借入金額が上限枠に達してしまい、他のローンにも手を出してしまうケースもあるでしょう。

借金を返すための借入れまで始めてしまうと多重債務となり、返済や利息の金額も何重にも膨れ上がります。文字どおり借金で首が回らなくなってしまいます。

返済期日を迎えても、お金の工面ができずに延滞や滞納となれば、各業者から催促や督促の連絡を受けてしまい、追い詰められていくことになるでしょう。

精神的な負担も大きくなりやすい

上記のような多重債務や滞納を起こしてしまった場合、経済的な負担はもちろん、精神的な負担も相当大きいものです。

職場にバレたらどうしよう」「実家に督促状が届いているかもしれない」「家族に迷惑をかけてしまうかもしれない」といった不安で、生活もままならない日々を過ごす可能性も高まります。

恥ずかしさや不安、恐怖感などから誰にも相談できずに1人で悩みを抱えてしまうと落ち込んだり、よい解決策を思いつかないような精神状態になってしまったりするリスクもあります。「絶対に自分で解決しないといけない」とは思わないようにしましょう。

カードローンを利用する際の注意点

上記のような危険性があることを踏まえたうえで、カードローンを利用する際には、以下の点に注意しましょう。

気軽に利用しない

簡単に借りられる気軽さが便利なカードローンですが、気が大きくなっての衝動買いや日々の無駄遣いの支払いにあてる目的での利用は避けましょう。

借金が増えていくきっかけになるだけでなく、お金を使って一度上げた生活ランクを落とすのは大きな我慢や努力が必要となるからです。

カードローンを利用する際は「本当に必要か」「返済可能か」「経済的に返済がきつくならないか」などを事前にチェックする必要があります。

できるだけ早く返済する

カードローンを利用した際は返済を長引かせず、できるだけ早く返済することも大切です。

月々の返済額が少なければ毎月の負担は軽くなりますが、結果的に支払う利息は高額となり、家計を圧迫するようになってしまいます。多少苦しくても月の返済額を上げて、最短コースで返済できるように心がけましょう。

返済を延滞しない

延滞にも注意が必要です。

数ヵ月支払いを延滞すると、信用情報に事故情報として記録が残り、契約している業者はもちろん、他の金融機関でも事故情報が共有されてしまいます。事故情報が共有されている間は「お金を貸しても、うちも延滞されるのでは」と思われてしまうため、他のローンが組みにくくなるデメリットがあります。

複数のカードローンを利用しない

もっとも危険性が高いのは、複数のカードローンを利用する多重債務に陥るケースです。

複数のカードローンを利用することで、毎月の返済額や支払う利息が大きくなり、生活を圧迫してしまいます。

どこでいくら借りていたか」「昨日が返済期日だったのに忘れてしまった」など、返済の管理をするのも複雑で難しくなり、延滞の危険性も高まります。複数のカードローン利用は、くれぐれも避けるようにしましょう。

カードローンで困ったときの対処法は?

カードローンの返済が苦しい」「このままでは返済できなくなりそう」などの悩みを抱えた際には、以下の対処法を早急に検討することをおすすめします。

返済計画を見直してみる

まずは「どこからいくら借り、毎月どの程度の返済があり、いつまでに完済するのか」についてリストアップしましょう。

リストアップの例としては

・A社 〇年〇月 10万円借入れ 返済日毎月25日 3,000円 〇回払い5回目

(〇年〇月完済予定)

・B社 〇年〇月 20万円借入れ 返済日毎月27日 1万円 〇回払い7回目

などのように、項目ごとに箇条書きしていくとわかりやすいでしょう。リストアップすることで返済が管理しやすくなり、毎月の支払い状況や完済予定日なども把握できるようになります。

できれば利率なども備考欄へ記載し、利率の高いものから優先して繰り上げ返済する、といった対処もできるようになるでしょう。

返済リストをベースに家計簿をつけるのも、お金の管理に役立つのでおすすめです。

多重債務で苦しい場合は債務整理を検討する

複数ローンを抱え、月々の支払いが厳しい場合は1本化できる「おまとめローン」などを使う方法もあります。

しかし、おまとめローンの返済計画によっては、かえって支払い総額を増やす結果となる危険性もあるため注意が必要です。

複数のローンを何とかしたい」「借金を減らして払えるものは支払い、人生をやり直したい」という意思がある場合は、債務整理という方法もあります。債務整理とは、借金や利息を減免する手続きです。債務整理にはいくつかの種類があり、それぞれ利用できる要件や手続き方法も異なります。

自身にはどの方法が向いているのか、借金をどの程度減らすことができそうかの可能性も含めて、借金問題に詳しい専門家から一度アドバイスを受けてみるとよいでしょう。

専門家へ相談してみる

カードローンの返済が自力では難しいところまで来ている場合、できるだけ早い段階で専門家へ相談するようにしましょう。

裁判所へ提出する書類を作る必要があるケースや、債権者である借入れ先へ直接連絡して減額交渉する、といった素人にはハードルの高い作業が求められるケースが多いものです。

認定司法書士や弁護士へ依頼することで、こうした手続きをスムーズに行えるだけでなく、専門家が代理で手続きをする間は督促や取り立て、返済が一時ストップとなるメリットもあります。債務整理を専門家へ依頼した人からは「こんなことならもっと早く相談すればよかった」という声が非常に多く聞かれます。

追い詰められて1人で思い悩む前に、債務整理の取扱実績が豊富で誠実に対応してくれる専門家に早めに相談するようにしましょう。

記事監修

岡山県司法書士会 司法書士

立山慶之

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